■三笘薫「ちょっと足が長くて良かった」
“負けられない”スペイン戦。同点に追い付いた直後の後半6分、堂安律の右サイドからのクロスに反応した三笘薫が、滑り込みながらゴールラインぎりぎりで左足で折り返して田中碧の逆転弾をアシスト。非常に際どいVAR判定となった中、ほんのわずかにラインにかかっていたとしてゴールが認められた。試合後、勝利の歓喜の中で「本当に1ミリですけど、中に入っていればいいと思って足を伸ばしました。ちょっと足が長くて良かったなと思いました」と笑み。この『三笘の1ミリ』は、世界中で議論、話題となり、上空からの証拠写真とともに何度も検証されたが、「ちょっと足が長かった」だけでなく、三笘のスピード、技術、執念、そして田中碧との信頼関係によって生まれた逆転ゴールだった。クロアチア戦での敗退後は「全部が足りなかったと思います」と涙を流した三笘だったが、今後のさらなる活躍を大いに予感させる大会となった。
■森保一監督「新時代を見せてくれた」
日本史上初のベスト8を目前にPK戦で惜敗。チームを指揮した森保一監督は、クロアチア戦後のフラッシュインタビューで「我々をこの素晴らしい舞台に繋げてくれた選手たち、サッカーファミリー、国民の皆さんに感謝したい」と語るとともに、格上のドイツ、スペインに逆転で下して世界に衝撃を与えた今大会の戦いぶりに、「ベスト16の壁は今回も乗り越えられなかったですけど、選手たちは新時代を見せてくれたと思います」と振り返った。アジア予選から采配、起用法、戦術に対して常に批判を浴び続けたが、W杯本番では交代枠5人をフル活用した積極采配で前評判を覆した。「これから先、日本のサッカーが最高の景色を願い続ければ、必ずこの壁は乗り越えられるということを強く思います」と続けた森保監督。敗戦には課題と反省もあることは確かだが、指揮官が見た「新時代」は、多くのサッカーファンの目にもハッキリと見えた。