世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による高額献金問題に絡み、被害者救済新法案が今国会で成立する見通しとなった。しかし、旧統一教会信者の両親のもと、中学、高校は韓国留学し、徹底的に教義を学ぶ“エリートコース”を歩んできた元信者の女性は、「子どもの救済をしないと問題は解決しない」と訴える。自身の経験を踏まえ、2世対策の重要性を語った。
【貴重写真】2020年に韓国で開かれた旧統一教会のイベントパンフレットに写っている文鮮明氏と韓鶴子氏はこちら
「旧統一教会にとっては、虎の穴というかエリート養成学校ですね」
旧統一教会の元信者の女性Aさん(30代)がそう言って差し出したのは「誠」と書かれた卒業文集。
ページを開くと、旧統一教会の創始者、文鮮明氏(故人)と妻の韓鶴子氏の写真があり、
「天の国の勝利の覇権を持たれるお父様(文鮮明氏)の代身者として、王子、王女の家庭を代理して一心一体一念一核の心情を中心とし……」
などと、2人が唱えたという言葉が記されている。
旧統一教会は、韓国に学校法人・鮮文学院を設立しており、同法人には善正中学・高校、仙和芸術中学(仙和中)や鮮文大学など、複数の学校が所属している。なかでも日本の旧統一教会の信者の留学先として知られるのが、仙和中と善正中・高だ。
冒頭のAさんが見せてくれたのは善正高の卒業アルバムだ。ほかにも日本からの留学生だけを対象にした寄宿舎「世界兄弟学生苑」の卒業文集もあった。
Aさんは日本の小学校を卒業後、韓国の語学学校、仙和中、善正高と計7年間、留学した経験があるという。
両親が合同結婚式で結ばれた「祝福家庭」のAさん。家庭は、子どものときからずっと旧統一教会中心に動いていた。
「両親は毎日、教会の活動で干物の販売、信者の勧誘などをしており、ずっと家を空けていました。私は独りぼっちで家にいることばかり。教会にこれまで1億5千万円を超える寄付をしているので、家にはお金もなく、友達とも遊ばせてもらえず、さみしい状況で、そんなときに韓国留学の話が持ち上がったのです」
とAさんは振り返る。