箱根路を制するためのポイントとなる5区、「山登り力」はどうか。駒澤大は前回5区を区間4位の1時間11分19秒で走った金子伊吹(3年)が有力候補。一方の青山学院大には、前回5区で1年生ながら区間3位の1時間10分46秒で優勝に貢献した若林宏樹(2年)がいる。前回大会ではレース後に原晋監督から「若の神」との称号を与えられ、「来年は区間賞で“山の神”を目指してほしい」と背中を叩かれたが、果たしてその期待に応えられるか。その若林をチーム内の上り坂のタイムトライアルで上回った脇田幸太朗(4年)も控えている。実力差は小さいだけに重要なのはコンディション。それを見極めた上で、原晋、大八木弘明の両監督が“誰を”起用するのか。いずれにしても、青山学院大が駒澤大を上回るためには「山」の走りが鍵になることは間違いない。
チームに勢いづける「新戦力」は、駒澤大がハッキリと上だ。何しろ、洛南高校時代に3種目の高校記録を塗り替えたスーパールーキー・佐藤圭汰(1年)がいるのだ。大学駅伝初出走となった出雲2区で区間新の衝撃デビュー。全日本2区でも区間賞には1秒及ばなかったが、従来の区間記録を上回る快走を披露した。箱根での距離延長にどこまで対応できるか未知数な部分は残るが、すでに“怪物”の貫禄を漂わせている。また、駒澤大は全日本4区で区間賞の走りを見せた山川拓馬(1年)も重要な戦力となっており、本人は5区の山登りへの意欲も見せている。一方の青山学院大は、今年の出雲、全日本で1年生は未出走だったが、黒田朝日(1年)は可能性を秘めている。11月25日に開催されたMARCH対抗戦の10000mで自己ベストを2分以上(28分33秒62)縮めて好調をアピールしており、若林の調子次第で、本人の希望通りに5区での抜擢があるかもしれない。
長丁場の箱根路を制するために重要となる「選手層」はどうか。駒澤大は、田澤廉(4年)、花尾恭輔(3年)、佐藤圭汰(1年)に加え、ハーフで日本人学生歴代最高の1時間0分40秒の記録を持つ山野力(4年)が安定感抜群。今年の全日本で5区区間2位の篠原倖太朗(2年)、同6区で区間4位の安原太陽(3年)の2人が好調で、10000mの持ちタイムでチームトップ5に入る青柿響(3年)、ハーフに強い赤星雄斗(3年)らも控える。ここに10000mを27分41秒68の鈴木芽吹(3年)が完全復活すれば、いよいよ手がつけられなくなる。