だが、人民元の存在感が高まることは、中国としても大歓迎だ。国際通貨としての人民元の位置づけの確立と、対ドル依存度の低下は、中国の大いなる悲願だ。だからこそ、人民元のデジタル化を急いでもいる。かくして、人民元・ルーブル二軸通貨圏が出現することになるのか。
折しも、ドル高進行で発展途上国のドル建て債務が膨らみ、デフォルト続出懸念が高まっている。国際通貨金融情勢には、大波乱の予兆が現れているのである。この通貨的風景の中で、円はどうなるか。円の番人には、この点にも目を向けてほしい。
浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演
※AERA 2023年3月6日号