山本大平さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)
山本大平さん(撮影/写真映像部・高橋奈緒)

 わかりやすい例を挙げると、「今の季節、京都では紅葉がキレイですよ」と知人から聞いたとします。「へぇ、今京都に行ったらキレイな紅葉が見られるんだ」とすぐ鵜呑みにしてしまいがちですが、「キレイ」というのは定性的・主観的な評価軸なので、その人が何をもって「キレイ」と言っているのかはわかりません。自分が「キレイ」と思えるかどうかは、結局京都に行って確認してみないとわからないのです。

 グルメサイトの評価もしかりです。「星4.0の名店だ」と喜んで予約を取り、いざ行ってみたら「あれ……?」って残念に感じるお店、ありませんか?

――すごくあります。「美味しい」も定性的・主観的な評価軸だからでしょうか。

 そうなんです。だから、自分にとって美味しいかどうかはわからない。そもそも、ウェブの情報は発信者の主観や何かしらの意図で操作されていることも少なくありません。そこも含めて疑い、現場に足を運び、確認する。そのことで初めて真実が見えてくるんです。

 この「現場で!」の原則は、私がトヨタ時代から大切にしている「三現の教え」がベースになっています。「三現」とは「現地」「現物」「現実」の三つ。「現地」に必ず足を運び、「現物」をなるべく近くで観察し、その上で「現実」に即した判断を下す。今も私が大切にしている考えです。

■シンプルな思考が試される「12個のボール問題」

「原則(3) シンプルに!」も、私が日ごろから意識している考えです。物事を難しく考えすぎると、かえって答えにたどり着けないことってありませんか?

――あります。考えれば考えるほど、だんだん元の出発点から遠ざかっていくような……。

 そうですよね。あまり深く考えすぎないほうが、最短ルートで正解にたどり着くことが往々にしてあります。ビジネスにおいても、シンプルに答えが出たものほど対策がしやすいし、成功の確率も上がるんです。

 その「シンプル」をどう表現しようか、本書ではずいぶん悩みましたが、最終的には「12個のボール」の問題に行き着きました。

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「昭和レトロ」に続いて熱視線!「平成レトロ」ってなに?「昭和レトロ」との違いは?
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最終的に行き着いた「12個のボール」の問題とは?