■そこで成長が止まるわけではない

 でも、振り返ってみると、息子は私の心配を越えていつの間にか歩くようになり、字を書くようになり、小学校の宿泊行事では先生や親友くんたちのサポートを受けながら雪国へ行ったり、運動会での全員リレーを走り切ったりしました。年齢が大きくなるにつれ、学校と話し合う機会は減っていき、今年度の修学旅行は事前の打ち合わせがないまま送り出し、親友くんたちと一緒に楽しんで来たようです。

 もしも歩けなかったとしても、今では公立の小中学校では車いすのお子さんの受け入れが進み、字を書くことが苦手ならばタブレットを使うこともでき、さらに学校生活を楽しめるかどうかは、必ずしも身体の障害の程度だけではないことも分かりました。

 私が息子の状態に悩んでいた時期に「そこで成長が止まるわけではない」と気づいていたら、もっと楽に育児ができたのだろうなと思います。何より、息子に必要以上に頑張らせることもなかったのでしょうね。

■友人からの一言で不安から抜け出す

 息子が小学校を卒業する頃、幼稚園の頃からずっと近くで見守って来てくれた友人にこう言われたことがありました。

「ねぇちーちゃん。今までコウが何かしようとする度にちーちゃんはすごく心配していたけれど、やっぱりやめれば良かったとか心配していた通りになっちゃったなんて、一度もなくない? だからもう、コウは手を放して大丈夫なんだと思うよ」

 常に不安で先回りして考えていた時期から、やっと抜け出せたような気がしました。

 冒頭にも書きましたが、子どもは常に今いる場所がゴールではなく、必ず成長していきます。入園・入学時にはぜひ、卒園・卒業時までのお子さんの伸びしろを考慮してほしいなと思っています。

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