■認定調査:親は調査員の前でいい子になる

 要介護度を決めるための「認定調査」の際の「親の変身」も気がかりです。認定調査では、認定調査員が自宅に来て、本人や家族の様子の聞き取り調査をするのですが、このときに、親がふだん以上の力を発揮することで、正しい判定がされなかったのではないか、要介護度・要支援度が軽くなったのではないか、と不安に思う人が多いのです。

 しかしこれは当たり前のこと。高齢者は全員、「そとづら良し男、良し子」さんです。認定調査員の前では精一杯気張って、かっこいい自分を見せたがるのは当然のことです。むしろ、第三者、つまり「社会」を意識した行動ができるととらえてください。

 こんなとき、あなたがすべきなのは、正しい判定がなされるかの心配ではなく、親を否定せず、親の見えも含めて、認定調査員の前で自然な気持ちを出させてあげることです。

「自分のことは自分でできています」と答える親に、「そんなことないでしょ、このあいだ、お鍋焦がしたでしょ」と頭ごなしに否定するような言動はしてはいけません。親が話したいことを好きなように話させてあげてください。「前のようにてきぱきできませんが、自分のご飯は自分でつくろうと思っています」「時間はかかりますが、買い物も掃除も自分でやりたいです」など、自立性をもちたい、人に迷惑をかけたくない、頼りないとわかっているがもう少し頑張りたいなど、第三者を前にしたときにこそわかる親の率直な気持ちが込められているからです。

■時間的・精神的余裕をもって認定調査に臨む

 ただ実際には、認定調査員は限られた時間で多くの情報を得なければなりません。そこで、次のようなことを心がけて、認定調査に臨んでください。

▼親のふだんの様子、生活ぶり、心配なことをあらかじめメモにしておく

 健康状態、食事の様子、着替え、トイレが間に合うか、外出時の様子、家事がどれくらいできるか、睡眠の様子、もの忘れはあるか、言っていることは変ではないか、などを書いておきます。また、心配なこと、気になる変化も書き出しておきます。具体的なエピソードを書き添えるとわかりやすいでしょう。

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現状は親がいないところで調査員に伝える