かく言う自分はおばちゃんだが、最近仕事の場面以外で、新しい友達がまったくできない事情はおっさんたちと同じ。ボルタリングに、がぜん興味が湧いてきた……というか、そんなことより、おっさんへのアドバイスだ。
せっかくなので、当のヨッピーさんにも聞いた。ヨッピーさんが見習うべきお手本として挙げてくれたのが、2年前、ヨッピーさんの「口車に乗せられて」、縁もゆかりもない佐賀県の唐津に移住した、編集者の中川淳一郎さん(48)だった。ヨッピーさんによると、中川さんは今では町の有名人。
「一緒に唐津で飲み歩いていると、あちこちから『中川さん!』と声がかかるほど。いつのまにか町の人気者になって、唐津の町を牛耳り始めていたのでびっくりしました。例えば『イカ釣りに行こう』とか『ニラを育てよう』とか、誰に何を誘われても、『おお!やりましょう!』と楽しそうに出かけて行くんです。そんな中川さんに、誘った方もうれしくなって、またあちこちから声がかかるんですよね」
あるときは唐津の居酒屋で、絵に描いたようなぐでんぐでんの酔っ払いと居合わせたこともある。
「でも中川さんは実に楽しそうに、その知らない人と仲良く飲み始めたりする。あー、中川さんはこうやって、唐津の町や人を受け入れたから、この土地に受け入れられたのだな、と思った。他人に自分を受け入れてほしいなら、まず自分が他人を受け入れようと。友達作りも、たぶんそんな具合ですよね」
最後に「超雑談力」や、最新刊「部下 後輩 年下との話し方」などの著書がある、作家で心理カウンセラーの五百田達成(いおた・たつなり)さんが言う。
「先日、大きな病院の待合室でずっと待っている人を観察していたのですが、女性は若い人から高齢者まで、いつのまにかほかの患者さんとおしゃべりが始まっている。それに対して男性は、ひとりイライラしながら、むっつりして座っている人がほとんど。私の本の読者を見ても、友達を上手につくれないのは既婚未婚にかかわらず、男性のほうが多い傾向はありそうですね」