という話を楽しそうにするのです。確かにおもしろい話。タイガージェットシンが乗ってくるだけでもおもしろいのに、サーベルの柄で「閉」を押すなんて。インドの狂虎とは真逆の行動すぎて、おもしろい。おもしろすぎます。本当だとしたら!!!!
僕はついつい笑ってしまったのですが。今田さんはまったく笑いません。「そんなわけないやろ」と。今田さんはこういうとき笑わないのです。「リアル」だと思わない限り。
今田さんは、まずタイガージェットシンが試合衣装でエレベーターに乗ってること、サーベルを持ってることなど、ありえないポイントをいくつも指摘。それでも高橋君は「ホンマなんですよ~」というが、ずっとニヤニヤしている。今田さんの指摘を聞くたびに、僕の中で確かに「そんなわけないよな~」と思い、高橋君を糾弾しました。
結局、高橋君は最後まで本当だと言い続けました。
この出来事、今から15年近く前のことですが、その話とその後のやり取りがずっと記憶に残っています。
で、話は元に戻りますが、高橋君から結婚報告の電話があったあとに、LINEに書きました。「本当におめでとうございます! 結婚祝いにはタイガージェットシンのサーベルをプレゼントいたします」と。15年も前のことを引っ張り出して書いてみたんですが。
そしたら、返信が来ました。
そこには「アイビスのエレベーターにありますわ」。
芸人さんって素敵ですね。
そして、こんな高橋君ですから、きっと幸せな家庭を築けることと思います。
おめでとうございます。
■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)が発売中。