例えば、内閣府男女共同参画局が実施した委託調査(令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査)では、調査回答者のうち「配偶者(事実婚・内縁)がいる」と回答した人は2.3%。別の調査(令和3年度 性別による無意識の思い込みに関する調査研究)では、調査回答者のうち、「事実婚」と回答した人が2.9%、「パートナーと暮らしている」と回答した人は1.1%だった。

 さらに内閣府大臣官房政府広報室による世論調査(令和3年度)では、「あなたは現在、結婚していますか」との質問に対し、「結婚していないが、パートナーと暮らしている」と回答した人が2.5%となっている。

 これに加えて、現在、法律婚を選んでいるが「本当は別姓でいたかった人」もいるはずだ。それらの数や実態を示す調査はなく、いわば“声なき声”。ただ、夫婦別姓を求める声は年々強まり、ここ数年、「選択的夫婦別姓」が選挙においても争点の一つになっている。

 実は、「結婚した夫婦はどちらかの姓を選ばないといけない」と夫婦同姓を強いるのは、世界で日本だけ。日常生活で不便や不利益を感じている人が存在するのに、なぜ日本だけで夫婦別姓が進まないのか。同姓も別姓も選ぶことができる「選択的」なのに、なぜ実現しないのか。次の記事では、その理由を探るとともに、当事者らの別姓への展望を掘り下げる。

(松岡かすみ)

[AERA最新号はこちら]