子宮腺筋症でもI型の場合は、不妊につながる可能性は比較的低いと考えられているが、子宮内膜症は不妊を合併しやすいため、II型の腺筋症では不妊のリスクが高くなるかもしれない。また、子宮腺筋症があると、体外受精をした場合の妊娠率が低いという報告や、妊娠した場合に早産になりやすいという報告も。
「本来、子宮は赤ちゃんの成長にともなって大きく伸びるものですが、腺筋症になると筋層が厚く硬くなり、伸びにくくなります。そのため、赤ちゃんがそれほど大きくなくても子宮が収縮してしまい、早産が起こりやすくなるのです」(小林医師)
和田医師は、胎児の発育への影響や脳血管疾患との関わりについても指摘する。
「子宮の、腺筋症のある部分に胎盤ができてしまうと、血流が悪くなって赤ちゃんがあまり大きく育つことができない『胎児発育不全』を起こすことが多い傾向があります。そのため、腺筋症のある人の妊娠では通常より慎重に経過をみていくことが必要です。また、子宮腺筋症が脳梗塞の原因になる可能性があるという研究報告もあります」
日常生活への支障や妊娠・出産への影響に加え、生命に関わる病気のリスク因子ともなりうる子宮腺筋症。過多月経や月経痛などがつらい人は早めに受診してほしい。
(文・出村真理子)
※週刊朝日2023年1月20日号より