組合の担当者は、

「今回もクーポンの電子化で混乱しています。特に温泉旅館はこの時期、ご高齢のお客様が多くいらっしゃるため、スマホを上手に使えない方が少なくありません。宿側に対しては県からマニュアルが配布されましたが、内容が分からず問い合わせ窓口に電話をしてもつながらない、という声が出ていました。結果、準備不足のまま10日を迎えてしまった施設も多く、現場には大きな負担がかかってしまっています」と話す。

 県内では、スタッフが足りず夜の食事の提供を打ち切った温泉旅館や、客数を制限したり、離職を食い止めるためにスタッフを休ませようと、ある曜日を休館にする措置をとったホテルもある。

 北海道の有名温泉地にあるホテルの広報担当者は、率直な思いを話す。

「おもてなしをする側にも利用者にとっても、分かりやすくて使いやすい仕組みにしてほしい。ただそれだけが願いです」

 お得に旅ができるのはうれしいことだが、訪れた先で働く人々はいま大変な思いをしている。おもてなしにちょっと不備があっても怒らない。旅をする側にも、そんな寛容な心が必要かもしれない。(AERAdot.編集部 國府田英之)

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼