今回のウイルスの増減について、他の専門家はどう見るか。豊橋技術科学大の原田耕治准教授(理論生物学)は「持続的な感染が新型コロナウイルスの特徴」と説明する。

 普通の風邪ウイルスであれば、例えば上咽頭(じょういんとう、のどの上の部分)に感染した場合、たいていはそこにとどまり、いずれ免疫に駆逐される。しかし、新型コロナウイルスは感染力がとても強く、上咽頭にとどまることなく、肺やその他の臓器、血管など全身に感染を広げていくことができる。その結果、免疫がウイルスを叩くよりも速く別の感染先を見つけ感染が継続しまう。これが持続的にウイルスが感染する原因と説明する。

 また、原田准教授らが行った感染シミュレーションによると(グラフ)、新型コロナはウイルスがなくなる完治状態は起こりにくく、体内にウイルスが残り続けるのが一般的だという。重症化した人は、平均的な症状の人よりもウイルスが残ると見られ、長引くコロナ後遺症はウイルスの持続感染が要因だと見ている。

 そのうえで、川上教授のデータについて、原田准教授はこう語る。

「ウイルスと免疫の攻防で、Ct値が上下している様子が見られます。ラゲブリオによって一時的にウイルス量が抑えられたにもかかわらず、投薬終了によるリバウンド(反動)で発病後10日目でもCt値が20台まで上昇し、かなりの量のウイルスを出していると考えられます。厚労省のアドバイザリーボードでも発病後7~10日でも二次感染を引き起こす十分な量のウイルスが排出されることが指摘されています。療養解除8日目以降も自身の免疫に負担をかけない生活と周りに感染させない対策が必要です」

 療養解除後の感染リスクやウイルスが再び増加することについて、厚生労働省はどう捉えているのか。

 厚労省によると、国立感染症研究所が実施した調査では、ウイルスを排出している人の割合は、発症日から数えた8日目で16%、11日目で3・6%だ。排出されるウイルス量も、発症早期に比べると、発症後7日以降は6分の1程度に減少している。

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