■田中碧(独ブンデスリーガ2部/デュッセルドルフ)

 アジア最終予選・オーストラリア戦のゴールで一気に日本代表の主役の1人に躍り出ると、本戦のスペイン戦では試合を分ける劇的な決勝ゴールを叩き込んだ田中碧。三笘薫の“1mmアシスト”に話題を持っていかれがちだが、巧みな構築からボックス内まで走り込んで攻撃を完結させた24歳の献身性と嗅覚はもっと称賛されるべきだ。

 そんな田中も例に洩れず、ワールドカップを期に大きな注目を集めている。地元紙『ライニシェ・ポスト』は他クラブからの関心が集まっており、またクラブ側も「契約満了まで残留させられるとは思っていない」と伝えている。一方で、本人は今季終了までのプレーを明言。さらに『ビルト』は、来夏に有効な500万ユーロ(約7億円)の契約解除条項の存在を伝えており、ステップアップは夏以降となりそうだ。

 今季終了まではブンデスリーガ2部で主力として活躍し、さらにデュッセルドルフを昇格争いに導くことができればその価値と名前はさらに上昇するはず。現在チームは7位と、後半戦のパフォーマンス次第では十分に昇格も狙える範囲だ。中盤でバランスを取りつつビルドアップやファイナルフェーズに絡める田中だが、ラ・リーガ勢などよりボールを触るチームへ移籍することができれば、さらなる飛躍も期待できるかもしれない。


■鎌田大地(独ブンデスリーガ/フランクフルト)

 その卓越した技術と視野、さらに得点能力で今季はゴールを量産。初挑戦のチャンピオンズリーグで3試合連続ネットを揺らすなど、前半戦だけで12ゴールと大暴れだった鎌田大地。そしてワールドカップではゴールこそなかったが、あれだけの技術を持ちながらもチームのために走り続ける献身性を発揮。フランクフルトとは違う姿を見せ、日本代表の躍進に欠かせない存在として全試合に先発している。

 鎌田の場合はワールドカップ以前から移籍市場の話題をさらっていたが、カタールでのプレーで彼を狙うクラブの名前が具体化してきた。エヴァートンやリーズ、トッテナムなどのプレミアリーグ勢、ドイツの強豪ドルトムント、イタリアの名門ミラン、ポルトガルの雄ベンフィカ、さらに一部ではバルセロナも状況を注視していると報じられている。

 そんな26歳MFは現在フランクフルトのチームキャンプに合流しており、今季終了までの残留が濃厚に。一方で契約延長オファーを断ったとも伝えられており、契約満了をもって来夏のフリー移籍が決定的となっている。市場価値3000万ユーロ(約42億円)の選手を移籍金なしで獲得できるのであれば、争奪戦は必至だ。今季の説得力ある活躍により、要望する条件はワンランク上げても問題はないだろう。だからこそ、選手キャリアにおいて最も良い年齢で迎える来夏の決断は非常に重要となる。日本屈指の司令塔は何を選択するのだろうか。

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