2023年2月13日に刊行予定の『スマホはどこまで脳を壊すか』(著・榊浩平、監修・川島隆太)。スマホやパソコン等のデジタル機器を便利に使うことでヒトが“効率的≒ラク”をした結果、脳も一緒にサボっている実態を、最新研究をまじえて検証。さらに“サボらせている”のが成長期の子どもの脳であれば、影響はより深刻で、スマホ依存がいかに学力低下につながるか、衝撃のデータとともに明らかに。
2023年2月13日に刊行予定の『スマホはどこまで脳を壊すか』(著・榊浩平、監修・川島隆太)。スマホやパソコン等のデジタル機器を便利に使うことでヒトが“効率的≒ラク”をした結果、脳も一緒にサボっている実態を、最新研究をまじえて検証。さらに“サボらせている”のが成長期の子どもの脳であれば、影響はより深刻で、スマホ依存がいかに学力低下につながるか、衝撃のデータとともに明らかに。

 解析の結果、アルコールとインターネットどちらにも依存していない健康な人と比較して、インターネット依存傾向の高い人たちは前頭前野の実行機能が低く、衝動性は高いことが報告されています。さらに驚くべきことに、インターネット依存傾向の高い人たちとアルコール依存症の患者さんの間では、成績に差が見られませんでした。

 実行機能は自分で自分をコントロールする能力を支えています。彼らの研究結果から、インターネットへ依存してしまっている人たちは、アルコール依存症の患者さんと同じ程度に、衝動的で自分をコントロールする能力が低いことがわかりました。

■スマホ横目に3時間勉強しても成果は30分

 私たち東北大学加齢医学研究所では、子どもたちを対象に脳の発達に対する影響を15年以上にわたって研究してきました。子どもを対象にする理由はいくつかありますが、その一つに、子どもの脳は急激な発達の過程にあるためスマホの影響が表れやすいという点があります。

 東北大学加齢医学研究所は、2010年度より毎年、仙台市教育委員会と共同で全仙台市立小中学生約7万人を対象とした大規模調査(「学習意欲」の科学的研究に関するプロジェクト)を実施しています。本プロジェクトでは、標準学力検査で収集した学力の指標と、同時に実施したアンケート調査で収集した学習・生活習慣に関するデータを用いて、子どもたちの学習意欲や学力と関連する学習・生活習慣を科学的に明らかにすることを目指しています。

榊浩平(さかき・こうへい)/1989年千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。2019年東北大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている。共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)がある。
榊浩平(さかき・こうへい)/1989年千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所助教。2019年東北大学大学院医学系研究科修了。博士(医学)。認知機能、対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行なっている。共著に『最新脳科学でついに出た結論「本の読み方」で学力は決まる』(青春出版社)がある。

 詳しい分析結果は、『スマホはどこまで壊すか』にまとめましたが、スマホの使用時間が長くなるほど、どんどんと学力が低くなっていくことが明らかになっています。また、スマホをいじりながら3時間以上勉強をしたとしても、実質30分勉強した程度の学習効果しか得られないといった、驚くべき結果の数々も出ています。スマホが子どもたちの学力を「破壊」している、そんな恐ろしい現状が浮き彫りになってきたのです。

 ここでご紹介した研究は、子どもたちや10代後半~20代の若者を対象にしたものですが、脳の前頭前野の発達は20歳ごろでピークを迎えるため、30代以降の脳でも同等の影響があるものと危機感をもつ必要があります。

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