他方で、こうした政治的な流れの中で、岸田首相がバイデン大統領から「格下に見られている」といった指摘が相次いでいる。

 印象に残るシーンがいくつかある。

 一つは、岸田首相がバイデン大統領とホワイトハウスの廊下を歩いている時だ。バイデン大統領が岸田首相の肩に手を置き、岸田首相が満面の笑みを浮かべているところが映像や写真で報道された。

 もう一つは、暖炉の前で、2人が座りながら話している時だ。バイデン大統領が岸田首相を指さしながら、「明言しておきたいのは、アメリカは日米同盟、そして日本の防衛に完全に責任を負っていることだ」と発言しているところが取り上げられた。

 SNSではこうしたシーンを取り上げて、

<肩に手を置かれて、「君は日本の首相として最高のポチだ」と言われているようだ>

<バイデンは岸田首相を指して命令しているように見える>

 などと声があがった。

 バイデン大統領が日本を格下に見ている表れなのだろうか。専門家はどう見るか。

 先の前嶋教授はこう見る。

「中国や北朝鮮などの脅威もあり、日本側も防衛力を強化する必要性がある。アメリカのいいなりという意味で『ポチ』というのは言いすぎだと思います。アメリカではフランクに対応することが、対等に見ているサインでもある。肩に手を置いたのもその表れでしょう。指をさしたことも、文脈的にアメリカの決意を表すためのもので、失礼なようには見えません」

 ボディーランゲージの専門家にも話を聞いてみた。

 元FBI捜査官で、非言語コミュニケーションに詳しいジョー・ナヴァロさんは、首脳会談で岸田首相は高く評価され、対等に扱われていたと見る。さらにバイデン大統領について「よく触ることで知られている」と説明する。

 調べてみると、直近では、ウクライナのゼレンスキー大統領やフランスのマクロン大統領の肩に手を乗せているのが確認できた。その他には、中国の習近平国家主席やイギリスのジョンソン首相(当時)の肩にも手を乗せていた。

マクロン氏(左)(バイデン氏ツイッターより)
マクロン氏(左)(バイデン氏ツイッターより)
ゼレンスキー氏(左)(バイデン氏ツイッターより)
ゼレンスキー氏(左)(バイデン氏ツイッターより)
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