バイデン大統領から異例の厚遇を受けたという岸田首相だが…
バイデン大統領から異例の厚遇を受けたという岸田首相だが…
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 岸田文雄首相が日米首脳会談でバイデン大統領から異例の厚遇を受けたことを誇っている。ホワイトハウスではバイデン大統領自ら寒空のした玄関前に立ち、岸田首相をお出迎え。その後、バイデン大統領は岸田首相の肩に手を置き、“親密そう”に歩いていた。しかし、こうした振る舞いが「格下に見られている証左では?」とSNSでは論争に。バイデン大統領の対応をどう見るべきか。専門家に聞いた。

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 日米首脳会談について岸田首相は記者団にこう振り返った。

「大統領自らホワイトハウスの玄関にお出迎えいただいたこと、会談の途中で2人だけで話をする時間を設けてもらったことなど、手厚く親密な対応をいただいた」

 異例の厚遇といわれるほどのアメリカの対応には、いったいどんな思惑があるのか。

「今回は厚遇しない理由がなかった」

 こういうのは、米国政治に詳しい上智大の前嶋和弘教授だ。

 日本政府は、日米首脳会談に先立ち、防衛政策の転換を表明していた。12月に閣議決定で、安保関連3文書を改定。敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力/敵基地攻撃能力」を保有することを明記し、防衛費についてもこれまでのGDP比1%から、27年度には2%に増額する方針を決めた。

 アメリカはたびたび防衛費の増額を日本に求めてきたとされる。20年にトランプ政権のエスパー国防長官が、中国やロシアと対抗するために、日本などの同盟国に「国防費をGDP比で少なくとも2%に増やしてほしい」と発言。また、21年10月に岸田氏が首相に就任した直後に行われた日米首脳電話会談で、バイデン大統領は日本の防衛費増額の方針に期待を示したと言われている。

 前嶋教授はこう語る。

「これまで手をつけることができなかった防衛力強化について、岸田首相は方針だけではなくて予算もしっかりつけることを決めた。これはアメリカにとって歓迎すべき状況です。今後も中国の経済力、軍事力は強くなると見られており、アメリカにとって日本やオーストラリア、韓国といった同盟国の安全保障上の役割は大きいんです」

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岸田首相はバイデン氏から格下扱いされていた?