また、手術には「開腹手術」「腹腔鏡手術」「子宮鏡手術」などの術式があります。開腹手術はメスで下腹部を切開しておこなう方法で、腹腔鏡手術はおなかに数カ所穴を開け、そこから腹腔鏡やメスを挿入して筋腫を切除します。子宮鏡手術は、腟から子宮鏡を挿入しておこなう方法です。

 どの術式を選ぶかも、子宮筋腫の治療選択で迷うポイントのひとつになると考えられます。開腹手術には、医師の視野が十分にとれるため安全・確実な手術ができるメリットがある一方、術後の回復がやや遅れるなどのデメリットも。

 腹腔鏡手術は、傷痕が小さい、術後の痛みが少ないなどのメリットがありますが、難度が高く、手術に時間がかかることもあります。子宮鏡手術は、おなかに傷がつかずからだへの負担が少ない治療ですが、子宮の内側にできる粘膜下筋腫だけが対象となります。 

■「絶対」という治療法はなく、最善の治療は人それぞれ

 子宮内膜症の治療も薬物療法と手術に大別され、治療選択は、症状や年齢、妊娠への希望などによって検討します。薬物療法では、月経痛に対してはまず鎮痛薬が用いられます。改善しない場合は、低用量ピル、黄体ホルモン製剤やその誘導体、GnRHアナログ製剤などにより女性ホルモンの分泌を抑えたり、子宮内膜の増殖を抑えたりすることで症状の改善を図ります。

 薬物療法で症状が改善せず日常生活への支障が大きい場合や、大きなチョコレート嚢胞で破裂のリスクがある場合などには手術を検討します。子宮内膜症の手術には、病巣部分のみ切除する方法と、卵巣、卵管を切除する方法があります。病巣のみを切除する手術は、子宮や卵巣を温存できるメリットがありますが、月経がある以上、再発リスクが高いため、術後も薬物療法を継続する必要があります。

 子宮筋腫や子宮内膜症で過多月経などの症状がつらいものの、手術を希望しない場合は、「子宮内黄体ホルモン放出システム」という治療法も。この治療は、黄体ホルモンを持続的に放出する装置を子宮内に挿入することで、子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、過多月経を改善させます。

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何を優先し、治療に何を求めるか、考えて選択を