■症状と病変の大きさ、妊娠・出産への希望により治療を検討

 子宮筋腫、子宮内膜症のいずれも、診断時には超音波検査をおこないます。子宮筋腫では、内診や触診による筋腫の大きさの確認、MRI検査による画像診断で、ほかの病気との区別をおこなうことも。子宮内膜症では、内診や触診でダグラス窩の痛みや病変部分の硬さなどもみて、腹腔鏡検査で確定診断をおこないます。

 子宮筋腫の治療には、薬物療法と手術があります。ただし、「筋腫があっても全ての人に治療が必要なわけではない」と木村医師は話します。

「多くの場合、症状がなければ治療は不要です。過多月経や月経痛などの症状が強く日常生活に支障をきたすような場合や、筋腫が大きい場合などに治療を検討します」

 子宮筋腫の薬物療法で使用される薬には、過多月経や月経痛を改善するための低用量ピル、月経痛に対する鎮痛剤や貧血に対する鉄剤などがあります。GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アナログ製剤という薬を投与し、子宮筋腫を成長させる女性ホルモン(エストロゲン)の産生を抑えて筋腫を縮小させる「偽閉経療法」という治療もあります。その名の通り、からだを閉経したときと同じ状態にするため、治療中は月経が止まり症状は改善します。

 ただし、骨粗鬆症などのリスクがあるため継続して治療できるのは6カ月まで。治療をやめると筋腫は元の大きさに戻ってしまうので、手術の前に筋腫を小さくして切除しやすくするため、あるいは閉経が近い人がそれまでの期間を乗り切る「逃げ込み療法」としておこないます。

 薬物療法で症状が改善しない場合や妊娠を希望する場合、筋腫が大きな場合は手術を検討します。手術には、筋腫だけを切除する「子宮筋腫核出術」と、子宮をすべて切除する「子宮全摘術」があります。子宮筋腫核出術は、子宮を温存できるメリットがありますが、手術時の出血量が多くなることや再発のリスクがあります。子宮全摘術をすれば再発はなくなりますが、妊娠を希望する人は選択できません。

「低用量ピルは、過多月経や月経痛などの症状を軽くすることはできますが、筋腫を小さくする薬ではありません。一方、GnRHアナログ製剤による偽閉経療法は筋腫を縮小させることができます」(木村医師)

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