日本経済の停滞、人口減少、コロナ禍……ビジネスをとりまく環境は不安な要素でいっぱいです。「ウチの会社、大丈夫かな?」「今の会社に勤めていれば定年まで安泰なのかな?」と心配する人も多いのではないでしょうか。
「組織や前例に縛られず、自分で考えて答えを出すスキルがあれば、明日会社がなくなっても生き残ることができます」――10万部を突破した『トヨタの会議は30分』(すばる舎)の著者で戦略コンサルタントの山本大平さんは、インタビューでこのように語っています。その「自分の頭で考えて答えを出す」方法論を一冊に凝縮したのが、山本さんの新刊『独立思考』(朝日新聞出版)です。
本書から、不確実な世の中をサバイブするための知恵の一部をご紹介します。今回は無駄のない思考法の一つである「思考の幹」にフォーカスし、分かりやすく説明していきます。
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■迷ったら「思考の幹」に戻れ
「あれ、この仕事って、そもそも何のためにやってるんだろう……?」
日々の仕事に取り組む中で、ふと疑問に思うことはありませんか? あるいは、そのように上司から指摘されることはありませんか?
事業・プロジェクト単位から個々のタスクにいたるまで、私たちはさまざまな情報や前例、慣習にとらわれるあまり、思考が迷子に陥りがちです。本来の目的を見失い、目的を達成するための手段であるはずの仕事が目的化しているケースも少なくありません。
山本さんは『独立思考』の中で、物事の本質、すなわち「幹」にこだわる思考法の重要性に触れています。
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「戦略があってこそ、戦術が機能する」という話をご存知でしょうか。一般的に、戦略とは、ある目的を達成するための大局的な視点で、組織の行動を計画遂行するためのプランのことです。一方で、戦術とは、戦略に基づいた具体的な戦い方を指します。仕事においても、まさにその通りです。仕事では、例えば「木のイメージで問題を捉え、『幹』の部分に何を問題の本質として設定するのか」と考えるのがおすすめです。
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