脳血管疾患が原因で起こる「脳卒中」は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に分けられます。いずれも重篤な場合には命を落としたり、半身麻痺などの後遺症が残る病気です。本記事は、2023年2月27日発売の『手術数でわかる いい病院2023』で取材した医師の協力のもと作成し、お届けします。
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■脳血管疾患とはどのような病気か?
「脳卒中」とも言われる、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血を起こす原因となる疾患が「脳血管疾患」です。
日本人の死因の第4位(2021年厚生労働省人口動態統計)であり、寝たきりを始めとした要介護の原因となる第2位の病気です。それぞれの病気について説明していきます。
脳梗塞は、脳卒中の70%前後を占める病気です。動脈硬化や不整脈などにより生じた血栓が脳血管に詰まり血流が途絶えると、脳が壊死を起こし、手足や言語などの機能が障害されます。重度の場合には命に関わります。兵庫医科大学病院脳神経外科主任教授の吉村紳一医師はこう話します。
「脳梗塞には細い血管が詰まるラクナ梗塞、太い血管が原因となるアテローム血栓性脳梗塞、不整脈などが原因で心臓から血栓が流れてきて脳の血管が詰まる心原性脳塞栓症があります。一番重篤化しやすいのが心原性脳塞栓症です」
脳出血では、高血圧症などによる動脈硬化などで脳の細い血管が破れ、その部位に関係する機能障害が残ったり、命に関わることもあります。
くも膜下出血は、脳の血管(脳動脈)にできた瘤が突然破裂して起きることが多く、激しい頭痛や意識障害などが現れます。ひとたび破裂すると社会復帰率は30%前後しかないとされており、死亡率も高い疾患です。
「まだ破裂していないものを未破裂脳動脈瘤(りゅう)と言います。瘤の大きさや形、できた部位によって破裂率が違い、予防治療が必要になる場合があります」(吉村医師)
■脳血管疾患の診断方法
脳血管疾患が疑われる場合、病院では、片側の手足、顔半分の麻痺やしびれ、ろれつが回らない、言葉が出ない、物が二重に見えるといった発作や症状があるかどうかを確認します。そして、頭部のCT、MRIなどの画像検査をおこないます。病状によっては、それ以外の検査がおこなわれる場合もあります。