■代表的な脳血管疾患の治療法

 脳梗塞で救急搬送された場合、t-PAという薬を点滴して詰まった血栓を溶かす治療(血栓溶解療法)が主流です。

「t-PA治療は、発症から4.5時間以内の症例に限られていますが、独居の人や寝ている間に発症した場合は正確な発症時刻がわからずこの治療ができない場合があります。しかし近年、MRIの異なる2種類の画像を評価することで発症から4時間以内であることがわかれば(※)、この治療が可能になりました。これまで発症からの時間がわからずt-PA治療ができなかった人を救うことができる可能性が増えました」(吉村医師)
※梗塞発症から30分程度で異常所見を表示できる拡散強調画像と、数時間(4~5時間)必要なフレアー法による画像を比較することで、発症からの時間を評価する方法。

 さらに近年増えているのが、脳血栓回収療法という、カテーテルで詰まった血栓を除去して血流を再開させる脳血管内治療です。

「カテーテルで血栓を取り除くことで脳の太い血管が開通するようになりました。脳梗塞の範囲が小さい場合は、24時間以内ならカテーテル治療が可能になりましたし、脳梗塞の範囲が広い場合にも有効であることがわかりました。最近の調査では、日本で年間1万5千件以上の治療がおこなわれています」(同医師)

 脳血栓回収療法は、日本脳卒中学会が認定している一次脳卒中センター(24時間365日、静注、点滴療法ができる施設)に指定された病院などで受けられます。

 脳出血では、血圧を下げる治療(降圧薬を点滴で投薬する)や、脳の圧を下げる薬による治療が主流ですが、出血が多い場合は手術で血腫を除去することもあります。

 くも膜下出血では一刻も早い緊急手術が必要です。頭蓋骨を開けて動脈瘤を露出し、その根本をクリップ(金属の洗濯バサミのようなもの)で閉じる開頭手術と、足の付け根やひじの血管からカテーテルを動脈瘤まで誘導して、コイル(金属の細い糸のようなもの)を動脈瘤に詰める脳血管内治療があります。

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未破裂脳動脈瘤の治療はリスクを天秤にかけて判断