■半数は舌にできる【口腔がん】

 歌手で俳優の堀ちえみさんがかかったことで知られるようになりました。60~70代に多いですが、若い人にも発生します。男性の発症者は女性の約1.8倍ですが、頭頸部がんの中では、女性にも多く発症する傾向があります。約半数は舌にできるもので、歯並びなどにより、口のなかの粘膜に常に刺激があるところにできやすいといわれていますが、詳しいことは明らかにはなっていません。自覚症状には、なかなかよくならない口内炎や出血、口の中の痛み、頸部リンパ節の腫れなどがあげられます。

「通常の口内炎では指で触ってもしこりを感じませんが、口腔がんはでは口内炎の奥に硬いしこりとして触れます。歯科で見つかることも多いです」(杉本医師)

■男性は女性の15倍多い【喉頭がん】

 食べ物と空気の通り道の仕分けをしている喉頭部分にできます。60~70代に多く男性が女性の15倍多いです。飲酒と喫煙が引き金になると考えられていて、とくに喫煙の影響が大きいです。

 喉頭がんはがんの発生する部位によって声門より上に発生する声門上がん、声帯に発生する声門がん、声門より下に発生する声門下がんの三つに分類されます。喉頭には、モノをのみ込むときに食べ物が気管に行かないようにフタの役割をする喉頭蓋(こうとうがい)や声帯があるため、がんができると声門がんでは声のかすれ、声門上がんではのどの違和感や閉塞感、血痰や頸部リンパ節の腫れなどがあらわれやすいです。

■ウイルス感染が大きな原因の【上咽頭がん】

 咽頭は鼻の奥から食道までに至る食物や空気の通り道のことで、上から上咽頭、中咽頭、下咽頭にわかれています。上咽頭がんはこのうち、鼻の奥の空気の通り道にできます。大部分は「EB(エプスタイン・バール)ウイルス」の感染が原因となって起こるもので、40~80代まで幅広い年齢でみられ、男性が女性の約3倍多いです。上咽頭がんは中国東南部やシンガポールなどに多いのに対し、日本では少なく、比較的まれです。

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中咽頭がんは、近年ウイルスによる発症が増加