最後に登場するのは、02年に入団した両打ちの内野手、フェリペ・クレスポだ。
開幕直後に来日し、4月23日のヤクルト戦に6番サードで先発デビューも、3打数無安打2三振と不発に終わる。翌24日のヤクルト戦で来日初安打となる二塁打と初打点を記録し、勝利に貢献したものの、その後は日本の投手の変化球に手を出して凡退、また凡退。わずか3試合でスタメンを外れた。
ところが、4月30日の広島戦で、代打で途中出場し、三塁を守ると、7回に来日1号、8回にも2打席連続となる3ランを放ち、2打数2安打5打点の大当たり。「自分はベンチにいては仕事にならない」とレギュラー復帰に意欲を見せるクレスポに、「さあ、これからだ」と期待したファンもいたかもしれない。
だが、翌5月1日の広島戦では4打数無安打3三振に倒れるなど、出場24試合で打率.122とさっぱり打てず、本塁打も2本だけで終わった。
これでは影が薄くなるのも仕方がないが、「ツーアウトなのにスタンドにボールを投げ入れた選手ですか?」と冒頭で紹介したレイサムと混同しているファンまでいるのが、もの悲しく思えてくる。(文・久保田龍雄)
●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。