「まもなく民主主義が寿命を迎える」より。エマニュエル・トッドほか著『2035年の世界地図』※Amazonで本の詳細を見る
「まもなく民主主義が寿命を迎える」より。
エマニュエル・トッドほか著『2035年の世界地図』
※Amazonで本の詳細を見る

 大きな例外は英国と米国です。両国では、人口の急速な増加が予想できます。ただ、英米がそうであったとしても、先進国の力の低下という文脈は変わりません。

 今日、特定の歴史的事例が、私たちに教えてくれることは、中国の人口が減少することの意味です。国連は「停滞する」と予測していますが、それは出生率が1.6ではなく、1.3だったと判明する前のことです。中国の人口は減少します。

 中国を含めて、私たちはダイナミズムが低下していく世界にいます。私は、すべての国が力を減らすと推測しています。中国も、米国も含めてです。

■「本物の戦争」は、拡大ではなく衰退から生まれる

 私たちは深刻な紛争を抱えています。冷戦よりも、はるかに深刻です。冷戦は「冷たい」戦争でした。ロシアがNATOと直接戦うということは、冷戦中は一度もなかったのです。

 今起きているのは、核兵器使用の脅しを伴った本物の戦争です。私たちが経験してきたものとはまったく異なります。このことは拡大ではなく、衰退と関係があります。

 あらゆるところで民主主義が失われています。西でも東でも。強くて拡大している国々ではなく、弱まっている国々と関係があります。この意味で歴史の研究は不可欠です。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ
西洋で”今”起きていることとは何か?