薬物療法で症状が改善しない場合などは手術を検討する。手術には、筋腫だけを切除する「子宮筋腫核出術」と、子宮を全て切除する「子宮全摘術」がある。妊娠を希望する場合は子宮筋腫核出術を選択するが、再発のリスクがあり、根治のための治療は全摘術だけだ。福岡山王病院の江上りか医師は、こう話す。

「多発筋腫といって、たくさん筋腫ができるタイプは切除しても再発しやすい傾向があります。何度も手術することは避けたいため、45歳以降で妊娠の予定がない人などには、全摘術を提案することもあります」

 子宮筋腫核出術をした場合は妊娠が可能だが、出産時は帝王切開になる可能性がある。

「子宮筋層の幅の半分を超えて切除した場合は帝王切開になる可能性が高くなります。ただし、粘膜下筋腫を子宮鏡で切除した場合や子宮の外側にできる漿膜下筋腫では自然分娩ができることもあります」(江上医師)

■患者の生活の質向上が治療のゴールに

週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』より
週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』より

 子宮筋腫の手術には「開腹手術」「腹腔鏡手術」「子宮鏡手術」などの術式があり、どの方法を選ぶかで迷うことがある。子宮鏡手術とは、電気メスをつけた子宮鏡を腟から挿入して筋腫を切除する方法だ。からだへの負担は少ないが、一部の粘膜下筋腫のみが対象となる。

「術後1週間の回復度は腹腔鏡のほうが高いものの、1カ月後には開腹と変わらないというデータもあります。腹腔鏡はからだへの負担が小さい方法ですが、すべての人に最善とは限らず、筋腫の大きさや位置、数、医師の方針や病院の体制などを考慮し、よく相談して選択することが大切です」(木村医師) 

 ほかに、子宮筋腫では「子宮動脈塞栓術(UAE)」という治療法もある。子宮動脈をふさいで血流を止めることで筋腫を縮小させるが、子宮や卵巣の血流が悪くなるリスクがあり、妊娠を希望する人はできない。

 子宮内膜症の治療も薬物療法と手術に大別され、治療選択は、症状や年齢、妊娠の希望などによる。月経痛に対しては、まず鎮痛剤が処方され、改善しない場合は低用量ピル、黄体ホルモン製剤やその誘導体、GnRHアナログ製剤などにより女性ホルモンの分泌や子宮内膜の増殖を抑え、症状の改善を図る。

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多くの病院で腹腔鏡による手術が可能