薬物療法で改善しない場合や、大きなチョコレート嚢胞があり卵巣破裂のリスクがある場合などには手術を選択する。手術には、内膜症の病巣部分のみを切除する方法と、卵巣、卵管を切除する方法があり、多くの病院で腹腔鏡による手術が可能だ。

 病巣のみを切除する手術は、子宮や卵巣を温存できるメリットがあるが、再発のリスクを伴う。症状が非常に重い人、妊娠を希望しない人、卵巣がんのリスクが高まる40代以降で10センチを超えるチョコレート嚢胞がある人などには、「子宮にも症状を起こす病変があれば子宮と卵巣を切除する選択肢を提示することが多い」と江上医師は話す。

 また、過多月経の症状を改善するため、黄体ホルモンを持続的に放出する装置を子宮内に挿入して子宮内膜が厚くなるのを防ぐ「子宮内黄体ホルモン放出システム」という治療法もある。

 いずれの治療も、「ゴールは治療前より患者さんの状態がよくなること」と木村医師は話す。

「どちらも生命に関わる病気ではないため、患者さんの生活の質が向上することが治療の目標。『筋腫や内膜症があるから手術』ではなく、『筋腫や内膜症があり、この症状がつらい。その問題を解決するためにこの治療を選ぶ』と考えることが大切です」

【病院の選び方 データの読み方】

 手術数は、病院の技術力の指標になると江上医師は話す。

週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』より
週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』より

「手術数が多ければ経験を積んでいることになりますし、複数の医師がいれば意見や知恵を出しあうことで、より質の高い手術につながると思います。筋腫や病巣のみを切除する手術と全摘術をバランスよく実施していれば、患者さんはどちらも選択可能になるでしょう」

■不妊治療や妊娠・出産も一緒に考えられる病院が理想

 木村医師は、「手術数が一定数以上あることは、経験に基づく合併症などへの適切な対処が可能な病院と考えられる」と話す。一方で、「手術数が多い=最善ではない」ともいう。子宮筋腫や子宮内膜症は必ずしも手術が必要な病気ではないためだ。

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