プロの世界は、アマチュア球界のトッププレーヤーたちが集まる。その中でも「天才」と形容された選手たちがいた。彼らの野球センスは他の選手たちも一目置くほどだったが、全員に明るい未来が待ち受けていたわけではなかった。故障やフォーム改造、チーム事情で出場機会に恵まれなかったことによって、輝きを失ってしまった選手たちが少なくない。今回、野球の現場を取材してきた新聞、テレビ、ネットなどのメディア関係者に、「消えた天才」というテーマで、その才能を高く評価する選手を挙げてもらった。(敬称略)
【写真】「松井秀喜級の素材」と称賛の声があがる巨人の選手がこちら
1位 中里篤史(中日、巨人)8票
※通算成績 34試合登板、2勝2敗、防御率4.65
2位 大森剛(巨人、近鉄)6票
※通算成績 132試合出場、打率.149、5本塁打、16打点
3位 藤王康晴(中日、日本ハム)5票
※通算成績 237試合出場、打率.220、10本塁打、37打点
4位 辻内崇伸(巨人)3票
※通算成績 1軍登板なし
5位 安達智次郎(阪神)2票
※通算成績 1軍登板なし
5位 平田洋(中日、近鉄)2票
※通算成績 2試合登板、0勝1敗、防御率32.40
1位は中里篤史。春日部共栄では甲子園出場はならなかったが、美しいフォームからの手元でホップするような軌道の直球で三振の山を築いた。ドラフト1位で入団した中日で「将来のエース」と期待されたが、プロ2年目の春季キャンプ中に宿舎の階段で転倒しそうになり、右手で手すりをつかんだ際に脱臼。右肩関節唇および同関節包の損傷で、投手生命が危ぶまれるほどの重傷を負った。懸命のリハビリで復帰したが、その後も故障に見舞われるなど、高校時代の輝きは戻らなかった。「中里は天才。あんな直球を投げる投手はなかなかいない。故障が悔やまれますね」「天才で浮かぶのは、間違いなく中里でしょう。中日という枠を超えて球界のエースになれる逸材だった」というコメントが見られた。