“旋風”の気配を漂わせているのが、1勝2分スタートの湘南だ。昨季12位のチームから主力数人に入れ替えがあったが、山口智監督の下で目指すスタイルに変化なし。第1節・鳥栖戦(○5-1)で鋭いカウンターから大量得点を奪って快勝。第2節・横浜FC戦(△2-2)、第3節・川崎戦(△1-1)では勝ち切れなかった悔しさと反省点はあるが、前線からの連動したプレッシングで試合のペースを握り、攻守に一体感のある戦いぶりは実に爽快だ。新加入の小野瀬康介が躍動し、馬力と献身性の高い町野修斗&大橋祐紀の2トップも機能している。運動量がベースになるために夏場をどう乗り切るかが毎年の課題になるが、交代枠をうまく使いながら「湘南スタイル」のアップデートが完了すれば、「5位以内」という目標も大袈裟ではなくなってくる。

 一方で、1分2敗で“早くも”最下位に沈んだのが横浜FCだ。第1節・名古屋戦(●0-1)でボール支配率68%を全く生かせず、第2節・湘南戦(△2-2)では小川航基の2得点で引き分けに持ち込んだが、第3節・鹿島戦(●1-3)ではシュート4本のみの完全な力負け。J2では個人能力の高さと選手層の厚さで勝点を積み上げたが、その2つの強みがJ1の中では平均以下という点が苦しく、エース・小川が封じられれば、八方塞がりとなる恐れがある。まだ順位を気にする段階ではないが、チームの半数以上となる21人が新加入組(レンタル復帰も含む)という編成において心配なのは、選手たちの自信喪失と四方田修平監督の求心力の低下。このまま未勝利の状態が長引くと、脆弱な組織の急造チームは、あっさりと瓦解へと向かうことになる。

 どこまで我慢できるかが鍵になるのは、G大阪も同じだ。新たにダニエル・ポヤトス監督を迎えてポゼッション重視の攻撃的サッカーへの回帰を目指しているが、第1節・柏戦(△2-2)、第2節・鳥栖戦(△1-1)と2戦連続ドロー発進から、第3節の神戸戦(●0-4)で大敗。補強の目玉であるイッサム・ジェバリ&ネタ・ラヴィが初めて揃って先発のピッチに立ったことで「いよいよ」という期待感があっただけにショッキングな敗戦となった。ビルドアップ時のボールの運び方など確実に進歩している部分はあるが、ウイングの人選で最適解を見つけられず、インサイドハーフの守備力不足、宇佐美貴史の起用法など、解決すべき課題は多い。同じく新監督を迎えた浦和が、開幕2試合を非常に不安の募る内容で連敗しながらも第3節で勝利して靄(もや)が晴れたように、G大阪も「勝利」が何よりの薬になるが、果たしてどうなるか。

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