世界ジュニア選手権(カナダ・カルガリー)で、日本女子代表の島田麻央と中井亜美はそれぞれ大技に挑み、総合力の高さも発揮した。島田が金、中井は銅、二人の14歳が獲得した二つのメダルは、日本のジュニア世代が順調に育っていることを示している。
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島田と中井は二人とも高難度のトリプルアクセルを試合で成功させているが、ジュニアのショートプログラムでは規定により組み込むことができない。しかし、技の基礎点では差がつかないショートで、島田は首位、中井は3位と好発進した。二人が高難度のジャンプを持つだけではなく加点がつく質のいいジャンプを跳んでおり、またスピン・ステップやスケーティングなどすべての要素において優れていることの証明だといえる。
フリー『ミス・サイゴン』の冒頭、中井は果敢にトリプルアクセルに挑むも転倒。回転は認められたものの、「残りの1回転ぐらいでいつもより軸が曲がってしまった」という。しかし、「その後は自分の頭の中で切り替えるように練習してきた」と自負する中井は、失敗を引きずらない強さをみせた。直後に3回転ルッツ―3回転トウループを決め、トリプルアクセルを除くすべての要素を加点がつく出来栄えで滑り切る。スピンやコレオシークエンスもすべてレベル4の評価を得ており、フリー130.12、合計197.40のスコアをマーク。2名の滑走を残して首位に立ち、メダル獲得を知った中井は、キスアンドクライで驚いたように手で顔を覆っている。
最終滑走で登場した島田のフリーは、世界的に著名なローリー・ニコル氏の振付で白鳥を表現する『Passepied,Wild Swans Suite』。スタートのポーズをとり終わらないうちに曲が流れ出してしまったようにも見えたが、島田は動じなかった。トリプルアクセルの軌道に入った島田は、きっちりと回り切り鮮やかに決めてみせる。すぐに4回転トウループに入っていき、こちらも着氷。惜しくも4分の1回転不足と判定されたが、完璧な成功まではほんのわずかといえる素晴らしい跳躍だった。