日本ハムの加藤貴之
日本ハムの加藤貴之

 第5回WBCで覇権奪回を狙う侍ジャパンは、「過去最強」の呼び声が高い。ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)、ラーズ・ヌートバー(カージナルス)、吉田正尚(レッドソックス)らチームの中心を担うメジャー組が参戦できるのが大きなプラスアルファだ。

【写真】「松井秀喜級の素材」と称賛の声があがる巨人の選手がこちら

 先発はダルビッシュ、山本由伸(オリックス)、佐々木朗希(ロッテ)、今永昇太(DeNA)の4人で回る公算が高い。WBCは1次ラウンドが65球、準々決勝が80球、準決勝以降は95球と球数制限が設定されている。カギを握るのが「第2先発」だ。ここに各球団のエース級がズラリ。戸郷翔征(巨人)、宮城大弥(オリックス)、高橋宏斗中日)、高橋奎二(ヤクルト)、伊藤大海(日本ハム)と先発陣と遜色ない実力者たちが控えている。そして、試合終盤のリリーバーは大勢(巨人)、栗林良吏(広島)、松井裕樹(楽天)、宇田川優希(オリックス)、湯浅京己(阪神)と三振奪取能力が高い投手たちがそろう。大谷を含めて計15人の投手を登録。盤石な布陣と言えるが、現場の見方はどうだろうか。

 各球団の首脳陣、スコアラー、球団スタッフなど球界関係者に「侍ジャパンに選ばれるべきだった投手」を調査したところ、「この布陣で十分に戦える」という回答が3人。他の人からは水上由伸(西武)、伊勢大夢(DeNA)、高梨雄平(巨人)の名前が。いずれもセットアッパーだった。

 そして、3票を集めたのが藤井皓哉(ソフトバンク)だった。26歳右腕は苦労人だ。高卒で広島に入団したが、5年目のオフに戦力構想から外れて退団。四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスで制球力を磨き、ソフトバンクに育成枠で入団した昨季に大ブレークした。150キロを超える直球、スライダー、フォークを武器に実戦で好結果を残し続けて開幕前に支配下昇格。セットアッパーで稼働して55試合登板で5勝1敗3セーブ22ホールド、防御率1.12と抜群の安定感だった。他球団のスコアラーは「落差の鋭いフォークで打者は『消える』と話していました。直球も速くてスピードガン以上の体感速度を感じるので、なかなか打てない。今年は救援から先発に転向するのでコンディション調整を配慮して代表招集が見送られたのかもしれませんが、国際試合でも十分に通用するでしょう」と太鼓判を押す。

次のページ