原則としてマスク着用を推奨せず、着用の目安を提示した上で「個人の判断に委ねる」という日本政府の決定に対してどう思うか、同世代の友人に聞いてみたところ、「本当にマスクなしの生活がやってくるなら嬉しいけれど、やってくるとは思えない」「外せるなら外したいけれど‥マスクをするなと言われない限り、マスクを外しにくい雰囲気は残ってしまうんじゃないかな」という意見が多く聞かれました。
実は、クリニックのかかりつけの患者さんとの間でよく話題にのぼるテーマの1つが「マスクの着用について」でした。「いつまでマスクを着けないといけないのでしょうか」「マスクを着けないといけない雰囲気が、とっても嫌ですね」「マスクをつけてくださいと行き先々で言われるのが嫌で、休日はできるだけ外出したくないです」「感染対策のためというより、マスクをしていないと(着用してと)言われてしまうから着けているだけになっている気がします」など、マスクを四六時中しないといけないことに疲労感を感じ、感染対策のためというよりは周囲の視線を感じながらマクスを着用している人が思ったよりも多いということが度々ありました。
私自身、新型コロナウイルス感染症の感染対策としてのマスクの着用には、一定の予防効果が存在することはこれまで報告された論文から心得ているつもりです。例えば、
コロナ感染やコロナ感染による死亡率を減らすための公衆衛生対策(マスクの着用、手洗い、ソーシャルディスタンス)の有効性に関するメタ解析により、マスクの着用により新型コロナウイルス感染症の発生率を53%減らし、ソーシャルディスタンスにより新型コロナウイルス感染症の発生率を25%減らしたことがわかったと言います。
米国のカリフォルニア州に在住している友人は、「日本ではマスクをもう着けるなと言われない限り、マスクをずっとつけないといけないという雰囲気が続きそうだね」と言います。その友人が昨年10月に東京を訪れた際、マスクをしていない人が一人もいなかった街の様子に異様さを感じたようです。「着用が義務化されていないのに、マスクをしていない人が1人もいなかった。それってすごいことだと思う」と言います。