山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
この記事の写真をすべて見る

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「マスク着用ルール緩和で思うこと」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【マスクで衰えた口まわりの筋肉を鍛えるトレーニング】

*  *  *

 新型コロナウイルス感染症の感染予防対策の一つであったマスク着用のルールが、3月13日から緩和されます。それに加えて、マスク着用以外のアクリル板の設置などの感染対策も見直しが検討されているほか、新型コロナウイルスワクチンの無料接種の見直し、新型コロナウイルス感染症という名称の変更も検討されているようです。

 常に着用することが当然のことのようになってしまったと言っても過言ではない「マスク」の存在ですが、「マスク着用のルール緩和」に対する意見は様々なようです。日本に住む同世代の友人に聞いてみたところ、「そろそろマスク着用をやめないと、マスクをつけることがこの先ずっと当たり前になってしまうと思う……」「マスクを着用してくださいと行く先々で言われなくなる日が待ち遠しい」「着用は義務ではないのに、マスクをしないといけない雰囲気が嫌だった、早くマスクなしで生活したい」という声が多く聞かれる一方で、「少なくとも職場ではマスクを外せない雰囲気が残りそう……」「みんながマスクを外すかどうか、様子をみてから(自分もどうするか)判断しようと思う」という声も聞かれました。

 2月18日と19日の両日、マスク着用のルール緩和についてたずねた全国世論調査があります。朝日新聞が実施したもので、「あなた自身はマスクを着けることが減ると思うか、減らないと思うか」と電話でだずねたといいます。その調査結果によると「マスクを着けることが減る」が49%、「マスクを着けることが減らない」が49%であり、世論は分かれていることがわかります。年代別でみても、それらの回答に大きな違いはなかったということでした。

次のページ
マスクは「個人の判断に委ねる」というが