「こうしてみると、『体臭』の強い企業が並んでいますね」

 ランキング全体を見て、こう評したのはベストセラー『転職の思考法』の著者、北野唯我(ゆいが)さん(32)。

「体臭が強いというのは、どういうキャラクターの人がその会社に就職・転職するのかが容易に想起できる会社です。つまり職場の空気がはっきりしていることです。たとえばリクルートやキーエンス。どちらも社名を聞いただけで、働いている人のイメージが湧く方も多いのではないでしょうか」

 36位の野村證券と37位のサイバーエージェントも総合評価は僅差だが、各項目を子細にみると「体臭」の違いが嗅ぎとれる。野村は20代成長が高く、待遇の満足度も3.81と高い。が、風通しは2点台だ。

「20代に厳しい環境の中でしっかり鍛えられ、外資の投資銀行などに転職する人も少なくない。だけど上下関係が厳しいので風通しは低いという評価。この会社らしさがモロに出てますね」(北野さん)

 一方のサイバーは対照的に風通しは高スコアだが待遇の満足度は3.22と低め。「金融とITの体臭の違いが明確に出ています」(同)

 また北野さんは、期待値と実態のギャップが小さいことも上位企業の共通点だと指摘する。

 たとえば、「我が社は風通しがいい」と喧伝しているのに、実際に入社すると上意下達がまかり通っているような場合、満足度は下がる。その点、上位企業は「体臭」が強めなので、どういう組織風土なのかがイメージしやすく、最初から自分は馴染めそうだと思う人間が応募してくる。結果、期待値と実態に乖離が少なく、満足度も上がるのだ。

 オープンワークの担当者によれば、「待遇の満足度は、人材の長期育成や社員の士気などと比べると総合評価との相関性は高くない」という。17位のスターバックス コーヒー ジャパンや48位のエイチーム、63位のPlan・Do・See、95位のセプテーニなどは待遇が2点台と低めながら、士気は高かった。これらの企業は20代成長環境のスコアも高く、若くても裁量権を持てることが社員の士気を高めていることがうかがえる。

(編集部・石臥薫子)

AERA 2020年3月2日号より抜粋