新年度が始まる4月を前に、転職活動をする人が増えるシーズンだ。何を判断基準にするかは人それぞれだが、元社員から「辞めたけど良かった」と思われる企業には、共通点があった。AERA2020年3月2日号による独自ランキングで見えた、新たな「定義」とは。
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正当に評価されていない、人間関係に疲れた、会社に将来性がない──。
転職といえば今の会社への不平・不満が動機になることが多いが、今回アエラでは、国内最大級の会社評価口コミサイト「OpenWork(オープンワーク)」の協力のもと、退職した元社員が選ぶ「辞めたけど良かった企業ランキング」を作成した。評価項目は、社員の士気、風通しの良さ、社員の相互尊重、20代成長環境、人材の長期育成、法令順守意識、人事評価の適正感、待遇面の満足度の8項目。元社員がそれぞれ5点満点で評価し、その平均点である総合評価が高い順に100位まで算出した。なお、総合評価と社員の士気、風通しの良さ、20代成長環境のみ記載している。
トップに輝いたのは、グーグルだ。東京・渋谷に新たに開業した複合施設ビル「渋谷ストリーム」にオフィスを移し、1日3食無料で食べられる社員食堂など充実した福利厚生や働きやすさで知られる。士気、風通しなどでいずれも4点超の高得点をマークした。
ちなみに4点以上は「強く満足している」状態。特に士気、風通し、20代成長、待遇の項目で4点以上を獲得している企業は全体の1%強と極めて少ない。ほとんどの項目で3.0から3.5がボリュームゾーンなので、3.5超かどうかが高評価の目安となる。
2位は世界的コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーで、4位までは外資系が独占。全体でも100社中37社を外資系が占めた。「国籍や年齢より個人の能力が評価される」というイメージ通り、風通しや20代成長での高評価が目立つ。
上位10社の中で傾向が異なるのは三井物産と三菱商事。両社で高スコアだったのは、待遇の満足度と人材の長期育成だった。11位のキーエンスは、平均年収が2千万円超というだけあって待遇は4.48とぶっちぎりの高得点。メーカーで風通しの評価が高かったのは、旭化成などだ。