この男性教員は、入試は教育公務員の宿命であると自らに言い聞かせ、最大限の集中力をもって業務にあたっている。だが、民間の外部機関がここまでやれるかといえば、疑問を禁じ得ないと指摘する。
「見直しが決まった大学入学共通テストの国語と数学の記述式問題で、ベネッセは採点者に大学生のアルバイトを起用すると発表して猛バッシングを浴びた。入試の採点は通信教育の添削とは違う。生徒の運命を左右しかねない仕事の重要性を、ベネッセはあまりにも軽視していたとしか考えようがない」(男性教員)
そもそも入試に民間企業を入れたのはなぜか。先の都教委の清野氏はこう説明する。
「『話すこと』の試験を一斉に実施するには、ペーパーテストと異なり実施時間や評価者の確保、実施場所の確保が不可欠です。こうした課題を解決するためには、英語の4技能を総合的に評価する試験として実績のある民間の資格・検定試験の枠組みを活用することが効果的・効率的であると考えました」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2020年1月20日号より抜粋
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