

AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:息子(21)のことで悩んでいます。幼い頃から極真空手を習い、病気の弟には優しい子に育ってくれたと思います。大学を中退し、警察官になり、勤務3カ月で退職しました。彼の遅刻・欠勤が原因かと思います。その後バイト先でも責任感がなく、遅刻を繰り返しているようです。私だけでも彼の味方であろうと思いましたが、甘やかしでしょうか。(女性/44歳/ふたご座)
A:こういう相談、これまで多く受けてきました。多くの人が勘違いしているのが「味方である」という言葉です。傷ついてきた人間にとって、味方ほど怖いものはないんです。味方って2種類いて、一つは、「どんなに落ちぶれようがこの人のすごくいいところを知っているから、私はこの子が好き」って言える、無条件の味方です。もう一つは「あなたがこういう振る舞いをしているなら、こういうパフォーマンスを上げているなら味方をしてあげる」という条件付きのもの。後者は、悪気がなくても、とても怖い存在になってしまいます。
想像ですが、息子さんは、彼なりに悩み傷ついている可能性があります。
僕は、ご相談いただく文を読むときに、1行目に何があるか、人のことをどう紹介するかを見ているのですが、今回のご相談でいえば「幼い頃から極真空手を習い」とある。そこに「この子は本当は強い人のはず」というプレッシャーを感じてしまいました。
身近な人が弱ってしまったとき、接する人たちが、「昔はこうだったのだからこうあってほしい」という希望を押し付けるのは、本人にとって暴力でしかありません。
情けないことをしていると自分で百も承知しているときに、「なんでそんなことしているの」と責められたら、もうつぶれるしかない。彼らが必要なのは、放っておかれる時間です。