親子関係の悩みが厄介なのは、子どもの問題を、親である自分が否定されたと感じてしまうところ。育て方を間違えたんじゃないかと焦って、もう一度教育し直そうとする。

 でも、あなたは子育てに関して一生懸命やってきたはずだし、それは正しいとか正しくないとか、そういう問題ではありません。息子さんに声をかけるとしたら「そうだったんだ」「私に何かできることある?」、この二つの言葉だけにしてください。事情は、本人にしかわかりません。

 身近な人が問題を起こしたり落ち込んだりしたときは、自分の人生について考え直すときでもあると思います。自分と縁があって近くにいる人は、自分の人生にも多大な影響を与えます。バリバリ仕事をしていた人でも、例えば配偶者が病気になったら、自分の働き方を見直すときでもあったりする。「この人さえよくなってくれたら……」と自分の希望を押し付ける側の人間になるか、「私の生き方自体を考え直すときなのかも」ととらえられるか。見方を変えるほうが、最終的に幸せに近づくように思います。

AERA 2019年12月2日号

[AERA最新号はこちら]