侍ジャパンの栗山英樹監督
侍ジャパンの栗山英樹監督
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 3大会ぶりのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝を目指す侍ジャパンは、1次ラウンドを全勝で準々決勝進出を決めた。もちろん全てが完璧だったわけではないが、4試合で得点は38、失点は8という数字が示すように、ここまでは日本の強さが際立つ結果といってよいだろう。

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 まず栗山英樹監督の采配で最大のヒットといえるのがヌートバー(カージナルス)の起用ではないだろうか。昨シーズンは108試合に出場して14本塁打を放っているものの、メジャーでのプレー経験はわずか2年間であり、実績的には決して十分だったわけではなく、大会前はその招集に対して懐疑的な意見も少なくなかった。ところが大会が始まってみると、1番センターに定着して快音を連発。これまでの4試合で打率.429、出塁率.579、2盗塁とリードオフマンとして見事な活躍を見せているのだ。

 センターの守備でもファインプレーを連発し、またその明るいキャラクターから完全にチームのムードメーカーとなっている。プロ入り前から日本代表でプレーすることを希望していたというが、代表チームにおいてはそういったモチベーションの部分が大きく作用するということを改めて考えさせられる。本職の外野手が少ないというチーム事情もあるだけに、今後も攻守にわたる活躍に期待だ。

 そしてもうひとつ栗山監督の采配で光ったのが、実績よりも現在の状態を重視して選手を選考し、起用しているという点である。今回のメンバーを改めて見てみるとヌートバーだけでなく佐々木朗希(ロッテ)、大勢(巨人)、湯浅京己(阪神)、宇田川優希(オリックス)、高橋宏斗中日)、宮城大弥(オリックス)、牧秀悟(DeNA)、中野拓夢(阪神)といったまだまだプロでのプレー年数が長くなく、代表経験もない選手が多く選ばれているのだ。ベテラン選手がコンディション的に不安だったという点も当然あるが、これだけ多くの若手を選出することは勇気が必要だったのは間違いないだろう。

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準々決勝へ向け不安要素も