何度治療しても、ダメなものはダメという人がいる。でもちょっと待った。その原因、あなた自身にあるかもしれない。AERA 2019年11月25日号では花粉症対策を特集。花粉症予防につながる生活習慣を紹介する。
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「小学5年生の頃から花粉症の症状に悩んでいます。7年ほど前にレーザー治療も3回ほど試しましたが、治療が苦しいわりにラクにはならなくて、やめてしまいました」
こう話すのは東京都内の会社員の女性(41)。いまは毎年、会社に併設された診療所で抗ヒスタミン薬を処方してもらい、しのいでいるという。
さらに上を行く「ベテラン」もいる。大分県に住む男性(81)は、花粉症とは1972年からの付き合いだ。毎年2月頃になると目がかゆくなり、鼻水、くしゃみの症状が出る。
「以前はシーズンに何度か注射をしてもらっていたこともありますが、いまは薬を処方してもらっています。飲み薬、点鼻薬、点眼薬など5種類を1回につき50日分ほどもらっています」
長い間、花粉症に苦しむこの2人。実は共通する生活習慣がある。飲酒だ。
「花粉症は、春のシーズンになってからの対応では遅い。気をつけるべき点の一つが、秋冬からのお酒の飲み方なんです」
そう話すのは、臨床家で鍼灸師の若林理砂さん。病気は症状が出る前にケアをする、つまり東洋医学の考え方の大本である「養生」の観点からも、春の花粉症対策は「秋から冬にかけての過ごし方にかかっている」と指摘する。
東洋医学では、春先は体に熱が生じやすいとされている。夏至の頃にかけて体の中のエネルギー量が上がり、秋口に下がり気味になり、冬至でいちばん下がる。ポイントはこの時期だ。
「ここできちんと養生をしないと、そのあと熱が上がり始める春先に『暴走する』と言われています。それがアレルギーなどの問題を引き起こすんです」
「暴走」しないための養生とは何か。若林さんが大前提として挙げるのは、「冬の間にじゅうぶんな睡眠をとること」だ。