ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
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もうずーっと長い間、日本において中国をレペゼン(代表)する野菜ですよね。空心菜なんかが出てきたのはずっと後からですし。アグネス・チャンさんみたいな感じです。どちらも、そもそも名前からしてレペゼン感が強いんですよ。チャンさん、っていう時点でもう中国だなーって思うじゃないですか。で、「青梗」って書いてチン・ゲン。えーっ、そんな読み方するんだってびっくりする感じと、いかにも中国っぽい音の響きとが相まって。子どものころ感じた異文化との遭遇でした。
味や香りにすごくクセがあるわけではなくて、やっぱり形が特徴的ですよね。形を生かそうと丸ごと出てくることが多いですが、あれはちょっと問題だと思っているんです。硬い茎のところと軟らかい葉のところが一緒になっていて、茎のところ、ちょっと筋っぽいからかみ切れなくて。かといって、「せーの」で一口で食べるには大きすぎる。中国料理店で出てきても、あれを上品に食べるのって至難の業ですよ。食べやすく刻んでおいてくれたらもっと好きになれそうなのに、残念です。
※AERA 2019年11月25日号