「お互いがやっていることをすべてリスト化し、家族全員ができるようマニュアル化しておくと便利です。残された家族はもちろん、家事代行や実家の親を呼ぶ場合にも役立ちます」

 こうしたリスト化は、女性に偏りがちな家事を家族でシェアすることにもつながるという。

「想像以上に家事が多いことが見える化するので、家族や夫婦の間に感謝の気持ちも生まれます。妻が多くを担っている場合は、夫や子どもが担えることを発見でき、シェアもしやすくなります」(服部さん)

 普段からの家事シェアは、長期入院などのときはもちろん、インフルエンザで数日寝込むなど、日常的に起こりそうな「リスク」にも有効だ。

 ただ、どんなに家事のシェアができていても、万一の際は一人でこなすのも限界があるので、家事代行やベビーシッターなどを利用するのも手だ。余裕のない緊急時に一から業者を探して依頼するのはハードルが高いので、一度は体験しておくのもおすすめだという。

 また、どんな家庭にも重要になるのが、近所の人や友人、パパ友、ママ友など、いざという時に頼れる人のネットワークを普段から構築しておくことだ。

「お迎えが間に合わないときに一緒に引き取ってもらうなど、ちょっとした助けが大きな力になります。困ったときだけ頼るのではなく、普段からコミュニケーションしたり助け合ったりしておくことで、いざという時にも頼みやすくなります」(三木さん)

 一方で、シングルの場合はリスクが低いようにも見えるが、そうとは言い切れない。服部さんはこう指摘する。

「シングルの方は、常にワンオペです。入院できるならともかく、そこまでではない病気の場合、最低限食べるものさえ用意できなくなる恐れがある」

 三木さんは、シングルの人は普段から食品を多めにストックしておき、調理しなくても食べられるようなものも買い置きしておくことが重要だとアドバイスする。また前述した困ったときに助け合えるネットワークづくりは、シングルの人にとっては生命線になるので特に重要だという。

 普段の家事シェアにもつながる家庭内のリスク管理、さっそく取り組みたい。(ライター・森田悦子)

AERA 2019年11月18日号より抜粋

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