もし家族の誰かが病気やケガをしたとき、家庭は立ち行かなくなる。家事分担に偏りがある場合はなおのこと。家事のシェアや見える化は、緊急時だけでなく、普段の生活も快適にする。AERA 2019年11月18日号に掲載された記事を紹介する。
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炊事、洗濯、掃除といった目に見えやすい代表的なもの以外にも、家事は山ほどある。こうした「名もなき家事」のほうが、存在がわからない分、万一の時にやっかいだと家事シェア専門家で、NPO法人「tadaima!」代表理事の三木智有さんは指摘する。
「いざという時に困らないためには、普段はまったく意識しないような細かい情報も含めて、家事を見える化し、シェアしておくことが重要です。特に子ども関連は緊急時にゼロから覚えるのは難しいので、なるべく夫婦双方が日常的にかかわっておくことが望ましい」
普段から子どもの衣類や持ち物類はまとめて収納し、ラベリングしてわかりやすくしておく対応が有効だ。保育園や幼稚園の朝の支度はもちろん、「ワンピース禁止」「フードの付いた服禁止」といったルールも双方が把握しておきたい。特に保険証や診察券、病児保育の連絡先など病気の時に必要なものはひとまとめにしておこう。また、予防接種は受けられる時期が限られているものもあるので、スケジュールは夫婦で共有しておきたい。
子どもが小学生以上の場合も油断は禁物だ。子どもは学校からのお知らせなどを親に渡し忘れることが日常茶飯事だ。用意しなければならないものを、前日になって親に言ってくるようなことがある。
「学校行事の年間スケジュールを把握している親なら、そろそろ何か指示される時期だと気づいて声掛けするのを自然とやっているものですが、普段子どもの面倒を見ていないとそういうことに気が回らない。普段から子どもと関わり、イベントなどはある程度把握しておくことも重要です」(三木さん)
家事代行業の「ベアーズ」マーケティング部の服部祥子さんは、「名もなき家事」を含めた家事のリストアップを勧める。