母親の許可を得て、長男本人が学校であったこと話してくれた。
「クラスには39人の生徒がいるんですが、学校へ行ったら、マスクをしてなかったのは自分ともう1人の男の子だけ。女子はみんなマスクをつけていました。何人もの同級生から『つけなきゃいけない』『何でマスクしないの、つけろ』と言われ“圧”を感じました。『きょうから解禁なんだ』と反論して、教室のなかではつけませんでした。でも、屋外では卒業式の練習をしていて、多くの人が集まっているから、これまでの習慣でランドセルに入れていた予備マスクをつけました」
改めて、母親はこう話す。
「学校からは事前に『外せという圧力がかからないようにする』というお知らせが来ていました。でも実際に外して行かせたら、逆に『つけろ』と圧を受けるなんて思ってもみませんでした。お知らせとは完全に逆の事態になって驚きました」
スポーツ競技関係の仕事をしているという女性は、マスクを外す持論をこう語った。
「マスクはまだ持ち歩いていますよ。ただ、昨年秋ごろから、政府は『屋外ではマスク着用は原則不要』と言っていますし、ここは人が少なそうだったのでマスクを外しただけです。マスクをしていると、顔の表情筋が衰えるんですよ。人に表情を見せなくて済むからデレーンとなっちゃう。それにメガネをしているからマスクをしていると曇るのもイヤなんです。正直、もう新型コロナの感染リスクはそれほど高くないと思う。これからのマスクは感染予防というよりも、周りの人に対するエチケットという面が強くなると思います」
ノーマスクにまだ罪悪感を抱いている人もいそうだ。
マスクをつけていなかった男性に声をかけると、無言でポケットの中からマスクを取り出し、「いつもはつけてます」とマスクをつけはじめた。男性は横須賀から来たというが、「他の人がマスクをつけなくなったらやめます」とだけ言って、足早に去って行った。