早稲田大学(撮影/加藤夏子)
早稲田大学(撮影/加藤夏子)
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 AO入試=「学力不問」「特別な才能を持つ人向け」というのは過去の話。いま国立大学も私立大学もこぞって推薦・AO入試を拡大している。AERA 2019年11月4日号では、東大、京大、阪大など難関10国立大への合格実績をもとに「推薦・AO入試に強い」高校を調査。合格者を積み上げている「強い」高校の共通点とは。

【ランキング】意外? 東大、京大…難関国立大の推薦・AO入試に強い高校はここだ!

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 大学受験の山場といえば年明けを思い浮かべるが、AO(アドミッションズ・オフィス)入試は今がシーズンだ。

「あっ、◯◯ちゃんだ!」

 AO入試に強い予備校として知られる早稲田塾。池袋校の玄関では、壁に貼り出された合格者名を見ながら、女子生徒が歓声を上げていた。

「今年の在籍者、来年度以降の受験生からの問い合わせは共に去年より3割増えており、関心の高まりを実感しています」

 同塾事業本部本部長の大澤雅紀さんはそう話す。

 いま推薦・AOで大学に入るのは決して珍しいことではない。私立大では入学者の半数近く、国立大でも2割弱を推薦・AO合格者が占めている。

 AO入試と聞いて、こう想起する人も多いだろう。

「学力不問の安易な入試」

 かつて、そう批判された時期もあった。しかし思考力・表現力や主体性を問い、多面的・総合的に生徒を評価するというその理念が、2020年度(21年入試)からの大学入試改革を先取りしているとして近年再評価され、各大学がこぞって拡大しているのだ。

 例えば早稲田大学は、政治経済や社会科学など多くの学部で推薦・AO等入試を拡充。一般入試との比率を逆転させる方針を掲げる。1990年に日本で初めてAO入試を導入した慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)では、総合政策学部・環境情報学部の募集定員を20年度入試からこれまでの1.5倍の計300人に大幅増員する。同様の動きは、他の私立難関大にも広がっている。

 激しい獲得合戦に、国立大学も負けてはいない。15年、国立大学協会は推薦・AO入試による募集を21年度までに定員の3割に引き上げる目標を設定。拡大路線に転じた。

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