
国際オリンピック委員会(IOC)から突如発表された、東京五輪の男女マラソンと競歩の札幌開催案。突然の発表に東京都が憤る一方、札幌は歓迎ムードだ。もし実現すれば、どんなコースになるのか。AERA 2019年11月4日号に掲載された記事を紹介する。
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東京都とは対照的に、札幌市は歓迎モードだ。札幌市スポーツ局国際大会担当部の安田聡東京オリンピック・パラリンピック担当課長(55)はこう語る。
「開催地として札幌市の名前を挙げていただいたことは光栄だと考えております。今は、情報収集に努めているところです。もし開催することになったら、組織委員会や北海道としっかりと連携させていただき、これまでの国際スポーツ大会の開催経験も活用して、大会成功に向けて努力させていただきたいと考えております」
札幌観光協会イベントグループの前真司課長(39)はこう語る。
「歓迎です。ホテルは最近は供給過多ということもいわれていたので、心配はないと思います。ラグビーW杯も札幌で2試合あり、外国人観光客も多かったですが、特に混乱はありませんでした」
開催まで1年を切っている中、準備は間に合うのか。さっぽろ健康スポーツ財団の職員で、道内で唯一、国際道路コース計測員の資格を持つ大聖陽平さん(38)はこう語る。
「公認コースの計測は自転車計測で行うことが決まっています。札幌はこれから雪の時期を迎えますが、雪が降ると自転車計測はできません。GPSを使うなどの予備計測といったある程度の計測は冬でもできますが」
札幌の初雪は例年10月末頃で、4月初旬まで雪が残る。昨年は観測史上最も遅い11月20日の初雪だったが、それでもあとひと月もしないうちに札幌は雪景色となり、4カ月以上雪に包まれることとなる。
まさに時間との闘いとなるだろう。
気になるのはコースだ。北海道マラソンの運営支援、スポーツボランティアの振興・啓発をしているNPO法人ランナーズサポート北海道の小山道雄理事(67)は「なるべく北海道マラソンのコースを使うのがよいのではないか」と語る。