■写真を届ける旅がしたい
重信さんは首都ビシュケクの南約120キロにあるソンクル湖の周辺を訪れた際、「ユルタ」と呼ばれる遊牧民の伝統的な家屋に泊まった。
「骨組みを組み立てて、それに布を巻いた、いわばテントですね。これに現地の人も住んでいるんですけれど、富士山頂くらいの標高が高いうえに、風が吹き込んでくるので、ものすごく寒かった。家畜のふんを燃やすストーブもあるのですが、すぐに消えてしまう。寝られないので、星空でも撮ろうかなと、外に出たら、この日はちょうど満月で、月光に照らされたユルタを撮影しました」
パキスタンで撮影したときは、その後、プリントした写真を持って、写っている人に届ける旅をした。
「残念ながら、この3年間は新型コロナで海外に行くことは難しかった。また、キルギスに行ったら、同じ宿に泊まって、写真をお渡しできるといいなって、思います」
(アサヒカメラ・米倉昭仁)
【MEMO】重信正嗣写真展「kyrgyzstan colors」
ポートレートギャラリー 3月16日~3月22日