バーケルのもとでは、技術だけでなく、試合への心の持っていき方など総合的なスケートの戦い方を学んでいるという。

 また2018年世界選手権銀メダルの樋口新葉(18)も、今季は復活のシーズンを目指す。8月にはトリプルアクセルのコツを掴むところまできていたが、怪我やスランプもあった。

「スケート靴を替え、エッジを取り付ける位置も変えたりして、試行錯誤しました。やっと3回転ジャンプが戻ってきたところ。今季の最後の方でトリプルアクセルを入れられるように進んでいきたいです」

 昨季から米国に拠点を移した本田真凜(18)も、今季は練習で手応えを感じているという。

「周りの方から『明るくなったね』と言われます。昨季は環境に慣れず、練習と学校の課題をするだけで、どこにも出かけず周りをシャットアウトしていました。今は苦手な英語も頑張って、チームメイトと話したり、先生の言葉がわからない時は聞き返したりしています」

 オフのアイスショーでは今季のフリー「ラ・ラ・ランド」を何度も披露し、その演技力に磨きをかけた。昨季の全日本選手権15位からのリベンジを誓う。

 ジャンプ力に定評がある坂本花織(19)、滑りが美しい白岩優奈(17)、山下真瑚(16)、三原舞依(20)、今季からシニアデビューの横井ゆは菜(19)らも活躍が予想される。

 4回転ばかりに話題が集まるが、フィギュアスケートは芸術とスポーツの融合する競技。3回転の質、演技力、スケーティングの魅力でも十分に戦える。大切なのは自分の個性の見極めだろう。次の北京五輪までは余裕がある。1人でも多くの選手が、自分のスケートを見つけるシーズンになることを期待したい。(ライター・野口美恵)

AERA 2019年10月21日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも