GPファイナル初制覇を狙う。紀平梨花は昨季、GPファイナル優勝。ロシア勢との勝負が見ものだ(撮影/写真部・加藤夏子)
GPファイナル初制覇を狙う。紀平梨花は昨季、GPファイナル優勝。ロシア勢との勝負が見ものだ(撮影/写真部・加藤夏子)
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グランプリシリーズ 主な出場選手とスケジュール(AERA 2019年10月21日号より)
グランプリシリーズ 主な出場選手とスケジュール(AERA 2019年10月21日号より)

 フィギュアスケートの本格的なシーズン始動となるグランプリ(GP)シリーズが、10月18日(現地時間)に開幕する。昨季GPファイナル制覇の紀平梨花選手も4回転ジャンプを試合に組み込むことを想定しているという。大会では例年以上に国内外の有力選手のハイレベルな戦いが予想される。AERA 2019年10月21日号に掲載された記事を紹介する。

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 女子は今季、歴史的な変革期を迎えている。4回転ジャンプを跳ぶロシア女子2人がシニアデビューを果たし、紀平梨花(17)も4回転を練習するなど、本格的な4回転時代を迎えるのだ。ハイレベルなジャンプ合戦となるのか、滑りや演技で魅せる選手が高く評価されるのか。

 まず注目は、昨季のGPファイナル女王で、トリプルアクセルを持つ紀平だろう。

「今季はトリプルアクセルをショートでもしっかり決めることが大切。4回転がなくても、スピンやステップでしっかり加点をもらうことや、曲のテーマが伝わるような演技をすることで演技構成点も伸びます。初戦のジャパンオープンを経験して、まだまだ伸びしろがあることがわかりました」

 5月の米国合宿では4回転サルコウを習得したものの、その後の練習中に左足首を捻挫し、まだ試合では挑んでいない。4回転を跳べるロシア女子との対戦について聞かれ、こう答えた。

「怪我がなければ4回転サルコウも練習したかったけれど、他の選手のことは考えないことにしています。まずは自分が安定した滑りをすることでGPファイナルを目指したいです。昨季は初めての大舞台ですごく緊張しましたが、今季はもっと余裕をもって迎えたいです」

 宮原知子(21)も変革の時を迎えている。今季はトロントを拠点にするリー・バーケルにも師事を仰ぎ、日本とカナダを往復するスタイルを選んだ。濱田美栄コーチに頼りすぎていたことからの自立だという。

「昨季のGPファイナルや世界選手権で紀平さんも一緒に戦い、先生と私の一対一ではない試合が増えました。これまでは試合直前に、濱田先生の一言に頼りすぎていたことに気づいて、最後まで滑り切る自分の強さを持ちたいと思ったんです」

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