ただ、菅さんは1人で活動することには限界があり、もっと広く赤ちゃんを亡くした家族に支援を届けるにはどうしたらよいかと模索していたときに、同じ想いの小原さんやほかの天使ママたちと出会い、一緒に、赤ちゃんを亡くした家族を支援する団体「Angie(アンジー)」を立ち上げた。「Baby Loss Awareness Week」の啓発週間やピンク&ブルーリボンの周知を目指しているほか、赤ちゃんを亡くした家族へのグリーフケアの必要性を訴える。

 メンバーの一人、平尾奈央さん(37)は11年前に妊娠30週で第一子の娘を死産した。その1年半後に息子を出産したが、育児に追われる中で娘の死と向き合う時間が十分に取れず、10年以上も苦しんだ経験から、こう願う。

「赤ちゃんの死に向き合えないままだと長く引きずってしまう。天使ママたちが自分の人生を生きる力を取り戻すサポートをしていきたいと思っています。この啓発週間を広め、お空にいる子の話をしやすい、優しい社会になってほしい」

 都内に住む櫻田智子さん(38)は妊娠20週のときの健診で突然、無脳症だと告げられた。おなかの赤ちゃんが脳の一部が欠損して、おなかの外では生きることが非常に難しい症状だった。人工死産の選択肢もあったが、力強い胎動に励まされ産むことを選んだ。赤ちゃんは出産予定日を過ぎた妊娠41週に、出産の途中で亡くなった。また、18年に妊娠7週で流産したときには、たったひとつの命なのに、病院で赤ちゃんとして扱ってもらえず傷つけられた。

「流産や死産では、突然当事者になり、幸せな気持ちから一気にどん底に落ちてしまう。だから妊婦さん自身も頭の片隅に、お空に帰っちゃうこともあるんだなという現実を知っておいてほしいし、もしそういう立場になったときにも、同じ経験をした人がほかにもいて、話せる場があるということもぜひ覚えておいてほしい」

 14年に妊娠7カ月で息子を死産し、その後500人以上の天使ママの話を聴いてきた谷原嘉代さん(44)は天使ママ、天使パパたちにこう呼びかける。

「15日の夜にキャンドルを灯しながら、あなたもお空の赤ちゃんもひとりじゃないよと感じてもらえたら」

 Angieでは今後、ピンク&ブルーリボンのピンバッチの制作・販売なども計画している。今年は10月15日午前11~13時には川崎市の溝の口でイベントを予定しており、各自が持ち寄ったキャンドルに火を灯し、交流する。詳細はAngieのホームページ(https://blfs-angie.jimdosite.com/)で。(編集部・深澤友紀)

AERA 2019年10月14日号に加筆